キャリア教育はなぜ必要とされているのか?【キャリア教育のプロが詳しく解説】

キャリア教育

キャリア教育コーディネーターかげたろーです。

このブログでは、300人以上の子供たちにキャリア教育を展開してきた僕が、実際に授業や学びの場を作り続けているコーディネーターの立場から様々な情報をお伝えしていきます。

✔︎今回の質問

 

これからの時代で、キャリア教育はなぜ必要とされているの?

こういった疑問にお答えします。

✔︎本記事の内容
1.キャリア教育とは
2.キャリア教育の歴史
3.キャリア教育によって期待される成長とは
4.キャリア教育の課題
5.今後目指すキャリア教育とは
6.まとめ

この記事を書いている僕はキャリア教育コーディネーターとして2年以上学習プログラムを開発し続け、300人以上の子供たち「探究する学びの場」を届けています。

こういった僕が解説していきます。

キャリア教育はなぜ必要?そもそもキャリア教育とは

文部科学省によると、キャリア教育とは、

 一人一人の社会的・職業的自立に向け,必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して, キャリア発達を促す教育

(中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(平成 23 年1月 31 日))

と定義されています。

元々は

「ひとりひとりの勤労観・職業観の育成」を中心とした言葉だったのですが、

近年では、

「一人一人が自分の人生をどう生きていくか」

を考えるための教育と定義されるようになってきました。

つまり簡単にまとめると、

『ひとりひとりが自分の将来について考え、生きるための力を身に付けながら成長していく教育』

と言えるでしょう。

キャリア教育の歴史

キャリア教育が提唱されてきたのは、今から約20年ほど前のことです。

元々は二ート・フリーター問題対策だった

キャリア教育は、元々は二ート・フリーター対策として提唱されており、社会に出ずに働かない人が増えていく中で、ひとりひとりの勤労観・職業観の育成を目的として始まった教育でした。

当時は「小学生にキャリア教育は早い」という批判的な意見も多く出ていたそうです。

2005年「キャリア・スタート・ウィーク」開始

2005年からはキャリア・スタート・ウィークという中学校の職場体験活動のキャーンペーンが開始されました。

これは、1998年度に兵庫県教育委員会がスタートした「トライやる・ウィーク」の成功例を全国的に展開しようとした動きです。

当時の兵庫県は、阪神淡路大震災が原因で、心に傷を負った児童・生徒たちの間での問題行動が多発していました。

そこで兵庫県教育委員会が、地域社会全体で子どもたちを育成しようと動き出したのが「トライやる・ウィーク」です。

この「トライやる・ウィーク」は、

5日間の職場体験・地域での体験活動を通し、働くことや社会人としてのリアルな経験を体感する活動で、生徒一人一人が自分の生き方を見つけることを狙いとしています。

実施翌年度から、県内の不登校率の低下教室の荒れの改善が確認されるなどの効果があったそうです。

この「トライやる・ウィーク」は現在も兵庫県で継続されている活動です。

2008年1月 中央教育審議会答申で「キャリア教育を充実させる必要がある」と指摘があった

2008年1月に「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」という中央教育審議会答申にて,

子どもたちが社会人・職業人として自立するためには,新たな学習指導要領において,キャリア教育を充実させる必要がある

と指摘されました。

高等学校だけでなく,小・中学校からキャリア教育を推進することが明確に求められていたのです。

2017年3月 小・中・高全ての学習指導要領に「キャリア教育」という言葉が記載

2017年3月,小学校の学習指導要領でも,ついにキャリア教育という言葉を直接加えることができ,小学校でも全国で本格的にキャリア教育が実施されることとなりました。

2020年度 キャリア・パスポートの取り組みがスタート

2020年度からは、ついにキャリア・パスポートの取り組みがスタートしました。

キャリア・パスポートに関しては下の記事に詳しくまとめていますので、気になる方はチェックしてみて下さい。

https://asomanactive.com/%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%aa%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%91%e3%82%b9%e3%83%9d%e3%83%bc%e3%83%88%e3%81%a3%e3%81%a6%e4%bd%95%ef%bc%9f%e3%80%90%e5%ad%90%e3%81%a9%e3%82%82%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%ae%e6%88%90

キャリア教育によって期待される子どもたちの成長とは

2011年に発行された「小学校キャリア教育の手引き(改訂版)」に小学校・中学校・高等学校の「キャリア発達課題」が掲載されており、それぞれ以下のように説明されています。

小学校「進路の探索・選択にかかる基盤形成」

小学校では、自分の未来へのイメージを広げることを大切としています。

例えば、

 

「僕は将来プロゲーマーになりたい!」

という子がいたら、

「どうしてプロゲーマーになりたいの?」

と言う問いかけをします。その際、

 

「キャラクターがカッコいいから!」

という返事があった場合、

「じゃあ、カッコいいキャラクターはどんな人が描いているのかな?」

と、想像力やイメージをさらに膨らませるための手助けをしてあげるのです。

このような視野を広げるための活動を、学校行事や様々な教育活動において実践し、より基本的なことの理解を深める教育「小学校のキャリア教育」となるでしょう。

その際、各学校の育成したい力を決める際に参考になるのが「基礎的・汎用的能力」です。

「基礎的・汎用的能力」に関して詳しい解説を下の記事にまとめていますので、参考にして下さい。

https://asomanactive.com/%e3%80%8c%e5%9f%ba%e7%a4%8e%e7%9a%84%e3%83%bb%e6%b1%8e%e7%94%a8%e7%9a%84%e8%83%bd%e5%8a%9b%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f%e3%82%ad%e3%83%a3%e3%83%aa%e3%82%a2%e6%95%99%e8%82%b2%e3%81%a7%e9%87%8d

中学校「現実的選択と暫定的選択」

中学校では、暫定的に社会での仕事や勤労感に触れることで、自分の将来との結びつきは直接無くとも、働くことに対する意識を育成していきます。

例えば、職業体験の際、自分が将来スーパーで働く訳ではないですが、数日間の職業体験を通して、
世の中ではこのように大人たちが働いているのか、という気づきを得るきっかけとなります。

高等学校「現実的探索・試行と社会的移行準備」

高等学校では、自分の将来の進路に関してある程度方向性を決め、その分野の知識を深めることができるような活動をしてきます。実際に社会に出て働くための下準備を行うフェーズとなります。

キャリア教育の課題

現状のキャリア教育の課題は、

学校の先生方のキャリア教育に対してのイメージがバラバラで統一されていないこと

とされています。

なぜなら、キャリア教育が提唱されてからの20年の間に、

キャリア教育自体も方向性や焦点が変わってきているため、先生がどの時期にキャリア教育に出会ったかによってイメージが変わってしまっている

のです。

今後目指すキャリア教育とは

今後目指すキャリア教育の姿として、具体的な目標設定を定めた授業運営をお勧めします。

例えば、「強くたくましい生徒」「将来の自分に明るい希望を持とう」という抽象的な目標を立ててしまった場合、それではどのように子どもたちが目標を達成したかわからない状態となってしまいます。

この場合、「基礎的・汎用的能力」を参考にしながら,「○○のような時に△△することができる」といった、具体的な子どもたちの行動変容まで表現した目標を立てると良いでしょう。

そうすることで、授業を通して子どもたちがどのように成長し、何ができるようになったかがわかるようになります。

成長する過程を言語化し、明確なものさしのある目標で授業をしていきましょう。

まとめ

この記事では、「キャリア教育」について、最初に知っておくべき要素をまとめてみました。

ぜひ少しでもキャリア教育に興味を持った方は、身近な先生や保護者に話してみたり、まずは小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました